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ゴミ屋敷禁止法案は問題を解決できるのか その内容と評判

2017年5月10日

ゴミ屋敷禁止法案は問題を解決できるのか その内容と評判

ゴミ屋敷禁止法案

ゴミ屋敷禁止法案が国会に上程されたのは2014(平成26)年5月16日のことでした。正式名称は「廃棄物の集積又は貯蔵等に起因する周辺の生活環境の保全上の支障の除去等に関する法律案」(通称:ゴミ屋敷禁止法案)で、自由党、日本維新の会、結いの党、みんなの党(すべて当時)の野党4党による共同提案でした。

この法案はいわゆるゴミ屋敷(廃棄物の集積・貯蔵が行われている個人宅)や、飼育されていない多数の動物への給餌・給水などにより、周辺環境に支障が生じている問題を解決すべく、廃棄物処理法や動物愛護法といった現行法で規定されていない部分をカバーするもの。また高齢者や障害者が廃棄物を処理が困難で、廃棄物の集積・貯蔵が生じる場合について、自治体が清掃や廃棄物処理に関する支援を行うことを規定し、地域住民の生活環境を守ることを目的としました。

この法案は野党案だったこともあり、成立していません。各自治体はゴミ屋敷問題が起きると条例や現行法(廃棄物処理法、道路交通法など)を適用して対応しています。いずれは国として法律に基づいた対応がされると思いますが、すんなり行かない問題もあるようです。

ゴミ屋敷禁止法案の内容は

この時に野党4党が提案したゴミ屋敷禁止法案は、自らが占有・管理する土地・建物における廃棄物の集積・貯蔵、また多数の動物に対して行う給餌・給水に対し、これらに起因する周辺の生活環境の保全上の支障を生じさせてはならないと規定しています。

ゴミ屋敷については市町村長、動物への給餌・給水については都道府県知事が勧告を出せるように規定し、命令に違反した場合や、立ち入り調査を拒んだ場合には罰則規定が設けられていました。

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ゴミ屋敷禁止法案の評判

【法律的な視点から】
これまで自治体がゴミ屋敷に適切に対処できなかったのは「ゴミ(廃棄物)とは何か」という定義が明確にされていなかったからです。ゴミ屋敷の主が「これはゴミではなく道具だ」とか「いつか再利用する資源だ」と主張したら、どうしようもありません。実際、自治体の職員がゴミ屋敷のゴミ(と思われる物)を撤去しようとした際に「ゴミではない」と主張され、手が出せなかった事例は数多くあります。野党4党が提案したゴミ屋敷禁止法案では、この点が解決されておらず、実際の現場では難しい事態に直面することになりそうです。

また法案にはゴミ撤去の勧告が盛り込まれていましたが、ゴミ屋敷の主が勧告を無視したり応じなかったりした場合は、そのまま膠着状態になることが予想されます。たとえ罰金を科したとしても事態の改善は難しいと思われます。ゴミ屋敷の主は、貧困、病気、孤立、あるいは精神的な問題を抱えている場合が多く、そのあたりを勘案しながら根本的な解決を図ることが必要と思われます。

【生活困窮者の視点から】
ゴミ屋敷禁止法案を立案した側と正反対の立場、現場からの批判も聞かれました。NPOほっとプラス代表理事の藤田孝典氏はヤフーニュースで次のように述べています。

“産経新聞などは「ごみ屋敷禁止法案」と報道している。ごみ屋敷になってしまうことを防ぐ「防止法案」なら、まだ理解できるが、禁止とはどういうことか。おそらく政治家たちは「住人がごみを溜めて不衛生で危険なところに住みたいと思っている」のだと本気で信じているのだろう。常識を疑う法案だ”
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20140517-00035411/

確かにゴミ屋敷を好んでつくる人がいるとは考えられません。藤田氏が言うように、ゴミ屋敷を「防止」するならともかく、「禁止」する法律を立案するなど、的外れもいいところ。やめなさいと言われてもやめられないところにこの問題の闇があります。

藤田氏は“ゴミ屋敷の住人自身、「どうしたらいいかわからない」のが現実なのだ。”とした上で、経済的困窮、配偶者との死別、子どもとの不和、近隣住民とのいさかいなどによる不安、寂しさ、孤独感がゴミ屋敷につながっていることに言及しています。

その藤田氏が所属するNPO法人ほっとプラスには、ゴミ屋敷に関する相談が寄せられるといいます。相談者の背景には何らかの問題があり、それがゴミ屋敷化に影響を及ぼしていることが想像できるそうです。また高齢者の場合はセルフネグレクト(自己放任)という、支援が必要な状態で発見される場合も多いといいます。これらの背景を理解した上で、問題の解決を図るべきです。

藤田氏は言います。“大切なことはその人の心の動きを理解しようとする姿勢を持ち、信頼関係を構築していくこと。例え、強制的な手段で介入し、ごみを片付けたとしても、すぐにまたごみを溜めてしまう。”まさに正論です。

生活困窮者、障害者、高齢者などであることを理由にゴミ屋敷が生まれてくるとしたら、法律で勧告や罰金を科す前に、社会福祉の一環として対策を講じるべきと思えます。野党4党が国会に提出したゴミ屋敷禁止法案が成立しなかったのも、冷静に考えれば、当然の流れだったのかもしれません。

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